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医師が教える! 病気と治療

閉塞性動脈硬化症について 2016年08月号

知っていますか? とても怖い足の血管病 ~閉塞性動脈硬化症~


記事提供 一色医師
足は第2の心臓と言われています。

高齢化に伴い、下肢に進行した動脈硬化を認める患者さんが増えています。

足の病気だからといって油断していると、命に係わることもある「怖い病気」です。

閉塞性動脈硬化症はどんな病気?

閉塞性動脈硬化症は、全身の動脈硬化が進んだために、主に下肢の動脈が狭くなったり、詰まってしまったりして、足の血液の流れが悪くなる病気をいいます。

血液の流れが悪くなると、歩行中に太ももやふくらはぎが痛くなり、しばらく立ち止まっていると痛みがなくなるといった特徴的な症状がでるようになります。

重症になって血液の流れが完全に止まってしまうと、足先やかかとの一部が壊死をして歩くこともできなくなり、最悪の場合は足の切断が必要となります。

閉塞性動脈硬化症の5年死亡率は乳がんよりも悪く大腸がんと同等

動脈硬化の症状が足の痛みだからと言ってバカにできません。

この病気が発見されてから5年後の生存率は大腸がんと同じくらい、言い換えれば5年の間に3割以上の方が心臓病や脳梗塞などで亡くなる可能性がある病気なのです。

たかが足の痛みですが、放っておいたら命に係わる大変な病気だと理解しましょう。

閉塞性動脈硬化症の診断と治療

検査の基本はABI(足腕血圧比)と呼ばれる検査です。

上肢と下肢の血圧を同時に測定することで、下肢の血流がどのくらい悪くなっているかを評価します。

異常がある時には、CTやMRI、血管造影検査を行って、血管が細くなったり詰まったりしていないかを評価します。

異常が発見された場合には、狭くなったところを血管の中から拡げるカテーテル治療や、外科的に行うバイパス手術などの血行再建術をおこなって血液の流れを改善させます。

壊死の程度がひどいときには、下肢を切断しなければならない場合もあります。

十分な生活習慣病の管理が必須

閉塞性動脈硬化症の患者さんは全身の動脈硬化が進んでいるので、健康を維持するためには動脈硬化に対する強力な治療が必要不可欠です。

中でも禁煙は必須、そして高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を十分に管理するために必要な薬を欠かさないようにしましょう。

定期的に運動することも大切です。なお、これらの管理目標は個人個人で異なりますので、医師とよくご相談ください。