私達は人生の約1/3を睡眠に費やしているのをご存知ですか? 記事提供 初野医師
まだ我々が動物だった頃の睡眠の役割は体の疲労回復のみでしたが、進化に伴い脳が大きく発達した為、現在の睡眠の大きな役割は脳の疲れを癒すことなのです。
しかし、時代が進むにつれストレスによる不眠や労働時間超過による慢性的な睡眠不足、子供の睡眠時間減少による学力低下、居眠り運転による甚大な事故等、睡眠障害による社会問題が発生しています。
更には生活習慣病や循環器疾患を抱えている方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の合併頻度が多く、その重症度はその後の生命予後にも影響しかねないことが判明してきました。もう一度、ご自身の睡眠と向き合ってみてください。
みなさん、本当に快適で深く長い睡眠が得られてますか・・・?
いびき・呼吸停止や止まりそうな呼吸が睡眠中に起こり、浅い眠りになる睡眠呼吸障害で、気道閉塞に伴う閉塞性、心不全に伴う中枢性、双方が混在する混合性に分類されます。
代表的な症状としては、眠くて朝起きれなかったり、起床時の頭痛、熟眠感が得られない、日中や運転中の眠気、集中力の低下、抑うつ等の症状を呈します。
また、鼻炎・鼻詰まりや鼻茸、扁桃腺肥大といった耳鼻咽喉科疾患や下顎が小さく噛み合わせが悪い、舌が大きい、口腔内の容積が小さい等の歯科口腔外科疾患のある方も起こり易いです。
診断基準は無呼吸低呼吸指数*1,2(AHI)≧5回/Hrであり、
AHI:<5(正常)、5-15(軽症)、15-30(中等症)、30~(重症)と分類されます。
当院では下記検査を用いて重症度を評価しています。
また病状によっては耳鼻咽喉科や歯科口腔外科への受診もお願いしています。
★簡易睡眠ポリグラフィ
機器を1泊貸出しし、ご自宅で出来るスクリーニングを目的とした簡易検査です。
★終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)
睡眠脳波や筋電図も装着し、睡眠の質を調べる精密検査である為、1泊入院が必要となります。
*1無呼吸(10秒以上の呼吸停止)
*2低呼吸(3%以上の酸素飽和度低下+気流の50%以上の低下)
◆軽症~中等症
ダイエット、禁煙、節酒、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用中止等の生活習慣の改善、睡眠体位や枕の高さ、口呼吸の是正、マウスピースの装着(※01)
◆重症
CPAP(※02)(持続陽圧換気療法)を使用し、呼吸停止を機械が感知し圧力のかかった空気を送り込むことで無呼吸を減少させています。重症の耳鼻科疾患・歯科口腔外科疾患の場合は手術療法が選択されます。
(※01)当院ではマウスピースの販売及び作成は行っておりません
(※02)簡易検査でAHI≧40、PSGでAHI≧20が保険診療の対象となります
当院では病院の特性上、循環器疾患を合併している睡眠時無呼吸症候群の方を中心に診断・治療・外来フォローアップを行っておりますが、近年非常に関心の高い病気であり、家族よりいびきや無呼吸を指摘されるも無症状の方や、眠気の自覚症状が強くてお困りの方、他院からのご紹介、職業ドライバーさんの検診異常、その他の睡眠障害でお困りの方も数多く来院されております。
奇数週、土曜日、午後外来であり、お待たせすることもございますが、是非気軽にご相談にいらして下さい。
病院スタッフ一同、心より皆様のご来院をお待ち申し上げております。